Bollywood Star file.15
Saif Ali Khan
表題にありますが、この人俳優という職業が無くても普通の人ではありません。
彼の身元についてはChef(2017)のレヴューで少し触れてます👇
Sajid Ali Khan PataudiとしてPataudi家の長男として出生。
父Mansoor Ali Khanは1971年の法改定で藩王国の称号等廃止になるまでPataudiのナワーブ(統治者、知事みたいなもんですがとっても偉いのです)として君臨。因みに父Mansoorはクリケットインドチームのキャプテンを務める名プレーヤー。日本人にはクリケットのキャプテンといわれてもあまりピンとこないと思いますが、国内のあらゆるスポーツ選手のトップの存在と言っていいでしょう。
Kapil Dev(インドが初めてワールドカップに勝ったときのキャプテン)はその筆頭ですね。
本来Saifは称号廃止によりナワーブにはなりませんが、2011年父Mansoorが亡くなった際にPataudiでパグリセレモニー(本来の意味は違いますが戴冠式のようなこと)を行い十代目のナワーブ of Pataudiとしました。
当時のナワーブが住居としていたPataudi宮殿ですが、現在の所有者もSaif Ali Khan。
ボリウッド映画の撮影も幾度となく行われてます。Saifや妹のSohaは幼少期にこの宮殿で過ごしたそうですのでこれだけで普通の金持ちではないことがわかります。
Pataudi Palace
これが父から受け継がれている家系ですが、今度は母方。
母Sharmila Tagoreは往年のインド映画ファンには説明不要の大女優!
Filmfare Awardsノミネート5回、受賞1回。1970~2000年代まで長きに渡って一線で活躍しました。
Tagoreの名前でピンと来る方もいるかもしれませんが、ノーベル賞詩人Rabindranath Tagoreは縁戚になります。
インドの方でもRabindranathはSharmilaのお祖父さんだ!という人が多く(事実インドの友人からそのように言われたことがあります)いますが、実際は結構遠い親戚。
経歴
このような両親の元に産まれましたのでSaifは一流の教育を受けることができます。
9歳からはイギリスの名門スクールに通いますが、「あまり学問には熱心ではなかった、、、同級生はみなオックスフォードやケンブリッジに進学した」と後に本人が語ってます。
学業を終了した後はインドに戻り広告会社に2か月間努めます。
同時期に知人の紹介によりアパレルのテレビコマーシャルに出演することになるのですが、ここから映画への出演の話がでるようになり本人もついにやりがいを見つけた!とムンバイに移住を決断。
映画界デヴュー
最初にチャンスをつかんだのはBekhudi (1992)へのキャスティング。しかし、演技力等に問題があり途中で降板しキャストは入れ替えられます。通常なら初の映画出演を監督から途中降板させられるとかなりのショックだと思いますが、この映画に関わったのは悪い事ばかりではありません。後に奥さんとなるAmrita Singhと出会います、最初はSaifの一目ぼれでAmritaを何度も夕食に誘いますが拒否をされます。最終的にはAmritaから『夕食には行かないけど、あなたがここに夕食にくるのはかまわないわよ!』と承諾し交際が始まったそう。。。
肝心の映画デビューですが、その翌年にParampara (1993)でデビュー!
実際Saifのようなバックグラウンドを持っている人間にはボリウッドでデビューすることはさほど難しいことではないでしょう。
Parampara (1993)
Sunil Dutt、Vinod Kanna、Aamir Khanと共演。
本作でSaifは大した評価を受けませんでしたが、同年に主演したAashik Awara(1993)でFilmfare Award for Best Male Debut(最優秀新人賞)を受賞!
個人的には大して重要な賞だとは思ってませんが、前年はSRKが受賞!その前はAjay Devganと後のスターは軒並み持っているタイトル。
最初のヒット
これまでに出演作品は未見でしたが、ここで初めてSaifの作品を見ます。
Yeh Dillagi(1994)
ヒロインはKajolでSaifはAkshay Kumarと兄弟役で三角関係に。
後から思えば、これはSaifの得意な役だったように思います。さすがに年をとってからはこういった役はやらなくなりましたが。。。
興行でも年間Top10ヒットとなりSaifが重要な役を演じた中では最初のヒット映画になります。
因みにこの作品オードリーヘップバーン、ハンフリーボガード主演のSabrina (1954)の非公式リメイク
堂々と非公式リメイク?と言ってますがはっきり言えば
『勝手にパクった映画!』ということ。。。
そして同年にもう1作
Main Khiladi Tu Anari(1994)
もちろんこの作品もAkshay Kumarが主役(Akshay Kumar=Khiladi)なのですが、本作でのSaifの評価は高くFilmfare Award for Best Supporting Actorにノミネート!
※受賞はJackie Shroff(1942: A Love Story)、この年は強敵揃いでSaifはノーチャンス、その中でもJackieは鉄板でした。
そしてヒロインにShilpa Shetty、2ndヒロインに後に歌手として有名になるRageshwari。
低迷~ブレイクスルー
Main Khiladi Tu Anari(1994)からの5年間多くの作品に主演級として出演、ヒロインも名前のある若手女優が起用されており、アクションではSunil ShetyやAkshay Kumarなどの看板俳優と共演。
しかし全てがことごとくこけます。
早くもキャリヤが終わった感が漂いますが、Kachche Dhaageで復活!
Kachche Dhaage(1999)
一見昨年までにコケまくったSunilやAkshayとのアクションものと思いきや、なかなかいい作品なんです。違う環境で育った異母兄弟が父の死をきっかけに、共に悪党退治をする!といったよくある話。
主演のAjayは過激で真面目な男を演じるもSaifは文句の多いエリート。二人の掛け合いが面白くストーリーもよくできてます。
この作品でSaifは二度目のFilmfare Award for Best Supporting Actorにノミネート。
※受賞はTaalのAnil Kapoor !これも鉄板の受賞でSaifもツキがない。。。
この作品以降完全に風向きは変わります。
アクションやラブストーリにコミカルな演技を入れた全盛期のSaif Aliの味が出始めます。
絶頂期の始まり!
ボリウッドのハズレ年でありHit作は少なかったですが、年間No.1ヒットにメインキャストの一人として出演
Hum Saath-Saath Hain(1999)
この年唯一のBlockbusterです。
すばらしい作品で自分も涙を流した記憶がありますがこの映画のベストはAlok NathとMohnish Behlだと思ってます。
年間No.2のBiwi No.1にも出演してますが特別出演枠の為インパクトは無し。
Kya Kehna(2000)
年間Top3
Saifの隠れた名作として有名。
本作ではPreity Zintaの評価が高いですが、Saifのふざけたチャラ男もほぼ地でいっているようで悪くない。
Dil Chahta Hai(2001)
当時Saifの演じる役はAbhishek Bachchanにオファーがありました。Abhishekとオファーがマッチしなかった事でSaifに話がいきます。フロップ続きでふてくされてたのか?最初はこのオファーを断りますが、最終的に監督Farhan Akhtarの父Javed Akhtarと共演のDimple Kapadia(娘のTwinkle Khannaとは本作を前に数回共演)に説得され出演。
結果、、、、Filmfare Award for Best Performance in a Comic Roleを受賞!
Saifにとって新人賞以外で初めてのFilmfare Awardになります。
復活のAkshaye KannaのBest Supporting Actorともに本作からダブル受賞。
因みにこの年Saifにはフライべートで二人目の子が産まれます。
当時31歳で二児の父ではありますが、ナンパなチャラ男がハマり役になりました。
そして、ノリにノってきたSaifを象徴する作品がコレ👇
Kal Ho Naa Ho(2003)
日本のボリウッドファンならほとんど見ていると思われ、2004年の東京フィルメックスで見た人もいるかもしれません。当時のフィルメックスの劇場はそこそこ埋まっていた記憶があるので人気はあったと思います。
余談ですがこの東京フィルメックス、運がいいのか第一回開催時に招待券をいただき知ることができました。ラインナップが良く毎年一人は気に入った審査員がいたので10年くらいは通いましたがもういけませんね。
Saifは本作でもFilmfare Award for Best Supporting Actorを受賞しますが、結局この役柄もハマり役だったんですよね。
2004年以降は良作への出演ラッシュで書ききれません!
Hum Tum(2004)で2度目のFilmfare Award for Best Performance in a Comic Role受賞!
Parineeta(2005)では遂にFilmfare Award for Best Actorに初ノミネート
このような大作に出演する中でも怪しい作品への出演は忘れません。
Ek Hasina Thi(2004)では復讐に怒り狂ったUrmila Matondkarを相手にアクションとヒール振りを好演!落ちぶれていた時に出会っていそうな作品ですが、すっかりスターとなったSaifには貫禄があり! 演技力をつけたうえで評価を得たと認識させられます。
私生活ではAmrita Singhとの離婚がありますが、さらに活躍は続く。
Omkara(2006)ではFilmfare Award for Best Performance in a Negative Roleを受賞!
この受賞により異なる3つのカテゴリーでFilmfare Awardを受賞しますが、これは他にいないのでは?(新人賞は除く)
今後可能性があるのはAkshay Kumarかなあ、すでにNegative RoleとComic Roleは受賞すみ!2010以前の役風では演技賞は難しかったと思いますがここ10年では社会問題作などに出演し演技派としてもアピールしてます。
さらにSaifのラッシュは続きます。
とにかくあらゆるカテゴリーを演じておりそれなりに質のいい演技をしてます。
唯一コテコテのコメディには出てないと思いますがNehlle Pe Dehlla(2007)、Go Goa Gone(2013)などのおバカ作品に出ることも忘れない。
しかし主演する作品だけはなかなか当たらないんですね。
そして記憶に新しいTanhaji(2020)で再度Filmfare Award for Best Supporting Actorを受賞!Saif通算5度目のFilmfare Awardになります。
今後のSaifですが、すでにGo Goa Gone2が撮影終了済!驚くことに続編があるんです。
サイフ・アリー・カーンおすすめ作品
初期と2015年以降の作品はほとんど見ていないので全盛期の映画から
Kal Ho Naa Ho(2003)
やはりこれは外せない!
メイン3人のパフォーマンス、音楽、ダンスを含め娯楽映画として完成してます。
監督は当時新人のNikhil Advaniでしたが、明らかにKaran Joharの映画でした。
Parineeta(2005)
新人Vidya Balanへの称賛がありましたがSaifの演技もすばらしい!やはり本物のナワーブだけあって大富豪の息子役などは合います。
2000年以降にボリウッド映画を観る方にとってKal Ho Naa HoでSaifを知る事が多いでしょう。Saifに気になった方、次にみるならこの作品がおススメ。
Kurbaan(2009)
本来ならここはLove Aaj Kalなどがくるのでしょうが個人的にあまり評価の高くない作品であることと前述の3作と雰囲気の違う映画をチョイス。
本作はコルカタの映画館にて最終上映で観賞。
終盤の緊迫感と深夜の雰囲気も重なり寒気を感じながらの帰宅でした。
Saifは終始眉間に皺を寄せたような表情でシリアスな役を好演、しかしこの映画は新境地を見出したようなKareena Kapoorの演技が素晴らしい!
まとめ
歳を重ね経験を積むごとに演技を変えていきいくつかの賞も受賞できました。
個人的にはボリウッドのトップ俳優の中では演技力を過小評価されている一人だと思います。
また、性格がいいのか?ナワーブだからか?交友関係も広くあらゆるタイプの俳優と共演が有り。
2022年の期待作は
Vikram Vedha
これは必見!!!
タミル映画のリメイクですがなんとSaifとHrithikの共演!
特別出演以外での共演はNa Tum Jaano Na Hum (2002)以来なんと20年ぶり通算2度目です。元々主演にはSRKやAamir Khanが上がってましたが、脚本やCOVID-19、スケジュールの都合で降板してます。外す可能性もありますがこの組み合わせに落ち着いて個人的には楽しみ。
タミル版もスター同士の共演でしたが、これは今年の目玉作品になるでしょう。
公開予定は2022年9月末
どうかタイで公開してください!